各大学に必ず存在する部署であり、私の所属する部署でもある入試課の仕事について紹介します。
入試課はどこの大学にもありますが、入試課と広報課が一緒になって入試広報課として1つの部署の大学もあれば、入試課と広報課で分かれている大学もあります。
入試課も広報課も大学の魅力をアピールするということは同じですし、最大のターゲットが「受験生」という所も同様のため、そのような組織体系としている大学が多いです。
数十年前と違い、今は受験生の数より大学全体の募集定員のほうが上回っているという、受験生が大学を選ぶ時代です。
その厳しい時代を生き残っていくためには、これまで以上に大学の魅力や強みを受験生をはじめとした世の中へ広く工夫して発信していかなければなりません。
大学職員の仕事の中でも、大学の顔として外に出る機会が非常に多い入試課の仕事はやりがいにあふれています。
私の経験も織り交ぜながら紹介していきます!
入試課は激務?
入試課の仕事内容の紹介の前に、皆さんが気になっているかもしれない、
「入試課って聞くと、激務なイメージ・・・。」
「ミスが出来ない責任重大な仕事だから、あまりやりたくない・・・。」
という点に触れたいと思います。
結論から言うと、忙しい時期もあれば落ち着いている時期もある、責任が伴う仕事も多いがそれは大学職員の他の部署でも同じ、ということです。
たしかに、秋~冬にかけての入試シーズンやオープンキャンパス等のイベントの直前等は忙しくなりますが、私の大学ではそれ以外の時期はそこまで多忙ではありません。
一昔前は、出願受付け~入学手続きまでを紙ベースで行っていたことや、その作業をすべて大学内の人員(入試課職員)のみで行っていた大学が多かったため、入試シーズンは毎日終電近くまで残っていたということもたしかにあったようです。
ただ、今はほとんどの大学がネット上ですべて完結できる「ネット出願」のシステムで運用しているため、そんな状況の大学は少ないのかと思います。
また、志願票や調査書等の必要な提出書類の受理・チェックも、アウトソーシングで外部に頼んでいる大学も多いため、入試課の職員の負担は軽減している大学が多いです。
私の大学も他大学もそうですが、その分の浮いた時間を大学の魅力をアピールする広報活動に割いています。
特に入試シーズンはミスが許されない仕事も多いですが、それは他部署の業務でも同じことかと思いますので、大学職員の仕事ではどこの部署に限らず、丁寧な仕事ぶりが大切になってきますね。
大学職員の入試課の仕事
大学職員の入試課の仕事で、メインとなるのはやはり大学の入学試験に関連する業務となります。
それ以外の時期は、主に受験生や保護者、高校の先生方を対象とした「入試広報」の仕事を行います。
入試広報は様々な形で行われ、オープンキャンパス、大学説明会、進学相談会、高校への訪問、広報誌の制作、受験生向けサイトでの情報発信など、多岐にわたります。
対面での広報活動では、入試課の職員が大学の顔となり大学のPR活動を行うため、自身の発言や態度がそのまま大学のイメージにも繋がってしまうことを常に意識しなければならない責任感のある仕事です。
大学職員の様々な部署の中でも、大学外に出る機会が多い部署でもあります。(特に入試シーズンではない時期)
そのため、前職が営業職の方にとっては、馴染みやすい部署の1つかもしれないですね!
入試実施、運営
私立大学は10月の総合型選抜を皮切りに、2~3月の一般入試までの約半年間を、各入試方式の準備・実施・合否手続き・入学手続きまで駆け抜ける多忙な日々となります。
準備、実施、合否手続き、入学手続きいずれも受験生の人生がかかっている大切な仕事且つミスは許されない仕事であり、神経を使う作業が多いことが特徴です。
そのため、特に入試時期はどの段階の仕事でも入念な確認を入試課全体で協力して行うことが大切になってきます。
また、入試日当日は入試課のメンバーだけでなく、多くの他部署の職員や先生方にも試験監督者や誘導人員等として協力をいただきます。
試験当日に滞りなく円滑に試験が実施されるよう、教職員全体を巻き込んだ学内調整(試験教室の選定、試験監督者の配置、事前説明会の実施等)を行い、実施体制を整えていきます。
個人的に、試験当日や終了後の採点、合否を出す仕事ももちろんですが、試験準備に伴う各種学内調整も大変な仕事であり且つ重要かと思っています。
また、自大学の入試だけでなく1月には「大学入学共通テスト」も行います。
大学入学共通テストは皆さんもニュース報道などでご存じのとおり、なにかトラブルを起こしてしまうとすぐに全国ニュースとなるため、個人的には自大学の入試以上に体力と気力を消耗してしまいます・・・
その他、各入試の募集要項の作成、前年度実施した過去問の作成および公開、出願書類や入学書類の受付処理等の仕事も行っていくこととなります。
入試広報
受験生や保護者、高校の先生方へ大学の魅力を発信する広報活動も、入試実施と同じくらい入試課のミッションとして重要になります。
どんなに素晴らしい入試制度を確立し、準備を万全に整えても、それを受験する受験生がいなければ水の泡ですからね・・・
入試広報については、入試課と広報課が分かれる場合は、入試課がオープンキャンパスや高校訪問を通しての対面の広報、広報課が広告やSNS、各種広報物による間接の広報を担当する体制をとっている大学が多いです。
私の大学は入試広報課で1つなので、対面広報も空中戦の広報もどちらもやりますが、担当者できっちり分かれています。
入試課が行う対面広報は、オープンキャンパスや進学相談会での受験生対応、高校への出張講義、高校生を受け入れる大学見学会等があります。
そういった中で1番多く話すことになるのが、大学の魅力や特色を話す「大学紹介」です。
私は前職が有形商材の営業職だったため、なにかについてPRしながら話すことにはある程度自信がありましたが、その自信は簡単に打ち砕かれてしまいました・・笑
今思い返すと当たり前な気がしますが、大学の特徴や歴史、提供している学び、キャンパスの魅力を毎回同じように伝えるだけでは、受験生に全く伝わりませんでした。
その高校やその受験生の置かれている状況を理解し、それに寄り添いながら話していくことが大事なんだと、恥ずかしながら半年ほど経ってから漸く気づきました。
対面広報もいわゆる営業活動のようなものですが、利益・売上を獲得するという明確な目標がないため、民間企業の営業とは少し別物とイメージしていただければ幸いです。
受験生対応
入試課の最大の顧客であり、年中接していくことになるのが、高校生を中心とした「受験生」です。
また、近年受験生と同じくらい重要なターゲットとしているのが「保護者」の方々です。
オープンキャンパスや進学相談会では、今や半分以上の来場者が保護者の方と同伴で参加されます。
そのため、受験生に刺さる対応に加えて、保護者の方々にも刺さる受け答えを行うことが必要不可欠になっています。
私が、特に受験生との対応の中で大切にしていることが、「1人ひとりに寄り添った対応を行うこと」です。
例えば、受験生と進路の個人相談をする機会があった際に、定型的な受け答えだけではなく、その受験生の背景や気持ちがどこに向いているか等、受験生が不快に感じない程度に深堀りすることを意識しています。
そこで出てきた本心に寄り添い、それが自大学にマッチしていれば勿論勧めますが、そうでない場合は本当にうちの大学でいいのか、他の大学や進路のほうがいいのではないかと、アドバイスをしています。
高校卒業後の進路選択は、その後の長い人生に大きな影響を与えることとなります。
人の人生に関わる仕事だという自覚を忘れずに、1人1人と向き合い、一緒になって考えることを常に意識しています。
受験生の対応と聞くと、ただ大学のPRをして、質問に答えるという単純な仕事のイメージもわきますが、非常に責任感が伴い且つ奥深い仕事だとイメージしていただけたら嬉しいです!
入試課はただ入試を行うだけではない
入試課はその名前から入試を行うだけと想像されがちです。
それも勿論重要な役割の1つですが、それ以外にも大学のイメージや入学してくる学生の質を左右する重要な仕事を行う部署です。
営業活動のような仕事やオープンキャンパスや入試の準備・実施等を行うため、体力中心の仕事をイメージすることもあると思いますが、体力と同時に頭も使わなければいけない場面も度々出くわします。
また、多くの教職員を巻き込む場面や仕事を担当することになるため、発信力・調整力・全体を見る力等、必要となる力は多く大変なことも度々発生するかと思います。
ただ、それ以上にやりがいや達成感がある仕事だと、実際にこの部署で働いている私が自信を持って言えます。
民間企業経験者や営業・広報経験者の方が通ずる仕事が比較的多い部署でもあるため、採用選考時の回答の参考にもしていただければと思います!