皆さんの中の大学職員のイメージはどのようなものが浮かぶでしょうか?
多くの方が、ホワイトな仕事をイメージするのではないでしょうか。
実際に私も転職活動中に、大学職員の仕事内容を知っていくにつれて多くの魅力があると感じていて、大学職員として働いている今、それは確信に変わっています。
一般企業から私立大学職員に転職し5年目の現役大学職員の私が、実際に働いて感じた大学職員の仕事・環境について「魅力」をお伝えします。
中途入職の目線を活かして、一般企業の働き方と比較しながら様々な面から良さを紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
大学職員には多くの魅力があり、私は転職して心から良かったと思いながら、日々の業務に邁進しております。
企業と同様ですが、大学も規模・運営方針・組織風土によって、働き方は多様です。ひとつの例として参考にしてください。
休みが多くメリハリのある働き方ができる
1つ目から待遇の話ですみません・・笑
ですが、社会人として生きていくうえで外せないポイント且つ入職して1番自他共に認める企業との違いだと感じたので、はじめに挙げました。
「どのくらい休みがあるか」は他大学の職員さんと交流する際に、必ず出る(私が気になって聞いている)話題のひとつです。
まず、私の勤める大学の年間休日は130日です。ここに有給5日を必須で取得しないといけないため、合計の年間休日は135日となります。
私の企業時代の年間休日が120日(有給5日は除く)で決して少なくはなかったですが、+10日は体感として大きな違いがあります。
厚生労働省による「令和4年就労条件総合調査書」によると、労働者1人平均の年間休日日数は115.3日となっており、いかに大学職員の年間休日日数が多いかがわかりますね。
令和4年調査における令和3年1年間の年間休日総数の1企業平均は 107.0 日(令和3年調査110.5 日)、労働者 1 人平均は 115.3 日(同 116.1 日)となっている。
厚生労働省による資料「令和4年就労条件総合調査」
大学職員の休日パターンについて
大学職員の休みの形態は、基本的には以下の2パターンに分かれます。
- 基本的に土日休みだが、月に1~2日程度の土曜出勤あり
- 完全週休二日制(土曜出勤なし)
多くの大学で採用しているのが、①となります。
私の勤める大学も①の形態で、土曜は平日よりも出勤人数を減らして交代で出勤しています。土曜は午前中のみの出勤の大学もあるようですね。
私もそうでしたが、皆さんの中にも、土曜に大学へ通学し授業を受けた経験がある方は多いと思います。
各大学は授業を履修した学生へ卒業に必要な「単位」を付与しますが、単位の付与については文部科学省が定めた「大学設置基準」という省令に則ることとなります。
大学設置基準の中で、1単位の授業科目につき、学修時間は45時間、学修期間は10週または15週を標準とし行うものとされています。
(だいぶ割愛して説明しているため、より詳しく知りたい方は文部科学省のHPより確認してください。)
もちろん、学生は複数の授業科目を同期間に履修することとなるため、学修時間を確保するためには土曜にも授業を行わないと間に合わないよね・・ということです。
本学でも上記の理由が当てはまるため、授業開講期間中は土曜と祝日も授業が開かれ、職員も出勤の形となります。
少し話が逸れてしまいましたが、土曜に出勤したとしても、代休は必ず取得できる大学が多いため、安心してください。
大学職員の夏休み・年末年始の休みについて
土日祝の休みのパターンだけを見ると、休日数は一般企業とさほど変わりはないと思います。
一般企業との違いとして大きく差が出てくるポイントが、夏休み等の大学独自の長期休暇が関係しています。
学生は夏休みや冬休み、春休み中はもちろん授業はなく完全なお休みとなりますが、職員や教員はそうはいきません。
基本的には、職員はそれぞれの仕事を大学へ出勤して行い、教員は自らの研究活動に時間を割きます。
ただ、長期休み期間中は学生がキャンパス内に少ないため、授業開講期間中に比べると、職員の仕事の比重は下がります。
特に、学生課や教務課、学習支援系の学生対応が中心となる部署ですね。
そのため、特に夏休み中にまとまった休みを設定していたり推奨している大学が多いです。(年末年始の冬休みも一般企業に比べると長いですが。)
2週間丸々長期の休みがあったり、8月は半分ほどの出勤でもOKな大学もあり、うらやましいですね・・
ちなみに、私の大学の職員の夏休みは一般企業の平均よりも多少多いかなくらいです・・笑
複数の大学の傾向として例で紹介しているので、すべての大学がこのような状況ではないことを注意してください。夏休みは1日しかないという大学もあります。
転居を伴う転勤がない
大学職員は、転居を伴う転勤がないことが多く、大学が潰れない限りずっと腰を据えて働くことが出来ます。
多くの大学は職員が働く拠点となるキャンパスが1つであったり、キャンパスが分かれていても通勤圏内であるため、そのような環境となります。
全国各地にキャンパスや付属学校がある大規模大学は全国転勤の可能性があります。(日本大学や早稲田大学、帝京大学、東海大学等)
私は一般企業時代は営業職だったため、全国転勤が当たり前の世界でした。総合職で働いている方も転勤があるかと思います。
私が思う転勤がないメリットを以下に挙げてみました。
- 慣れた環境で生活・仕事が送れる
- 家族と離れることなく生活できる
- 将来の設計が立てやすい
慣れた環境で生活・仕事が送れる
私も営業マン時代に、地方への転勤を経験したことがあります。
出身地ではない地方での生活の最初は友人も知り合いもおらず、会社以外は孤独な時間が多く、土地勘もないため生活に慣れるまでに少し時間がかかりました。
慣れてくると友人ができ、その土地の文化や生活にも慣れて、充実した生活がおくれていましたが、そのタイミングでの転勤の辞令があり、また一からのスタートとなりました。
私1人であればこの先も同じことがあっても問題ないと思っていましたが、家族が出来て同じ場面になったことを想像すると、苦労する状況もあるのではないかと想像しました。
そのリスク・不安が解消されたことは自分の中で大きな変化となりました。
家族や友人と離れることなく生活できる
上述の話と少し重なりますが、家族や友人と離れることなく、生活が送れるのは個人的に大切にしたいことでした。
家族が出来た後転勤があると、状況によっては単身赴任での生活も選択肢として出てくると思います。
私の価値観の話になりますが、家族と常に一緒に生活をし、近くで子供の成長を見守りたいという強い思いがあったため、その思いが叶えられる今の環境に非常に満足しております。
また、大学時代の友人や企業時代の同僚・知人など、首都圏にいる人が多いため、家族と同様信頼している人達が近くにいる中で、ずっと生活を送れるのはありがたいです。
私は友人を誘って飲みに行くのが好きなので、知り合いが少なくそれが出来ない環境は辛いのも転勤が嫌な理由の1つです・・笑
将来の設計が立てやすい
結婚や転職、住居の購入等、人生には多くの大きな分岐点が存在します。
その選択の際に、「どこで」それを行うかが大事なポイントの1つとなると思います。
また、それらの選択は1人で考えることもありますが、家族で考えることもあると思います。
私はどちらのケースで考えた際にも、転勤がなくなることで今後の将来設計が組みやすくなると想像しました。
このメリットは、個人の価値観・人生観のため、個人差はあると思いますが、参考になれば嬉しいです。
大学職員は「事務職」が基本で「営業」をしなくてよい
こちらは「営業職」を行っている方のみが対象となるメリットですが、大学職員は「事務」の仕事を基本的に行います。
企業で例えると、人事や経理、総務等の管理部門のイメージですね。
人事や経理、総務も基本的にはお客さんへの営業は行わないと思いますが、大学職員もそのような働き方となります。
「入試課」や「就職課」等については、時にはこちらから営業活動のような仕事を行います。(入試課は高校や塾、就職課は企業がお客さんとなります。)
ただ、大学職員が行う営業活動といっても、企業のようにノルマや達成しないと査定が変わる目標数値のようなものはないです。
(1人あたり50校高校を回る・就職率98%を目指すといった、目標数値はあります。)
私は企業時代はずっと「営業する側」だったため、大学職員となり「営業される側」になった際は、変な感じだなと違和感を感じることもありましたが、今はもうすっかり「営業される側」として定着しました笑
ジョブローテーションにより成長できる
大学職員は多くの大学で、様々な部署を経験させる「ジョブローテーション」の制度をとっています。
私は企業時代、「営業職」から抜け出すことが出来なかったため、現在の環境でこれから様々な部署を経験して、多様なスキルや視野を得られることを楽しみにしています。
スキルだけでなく、全く新しい環境・業務をすることで新鮮な気持ちで飽きずに長く仕事に取り組んでいけるのも魅力的なポイントだと感じています。
まだ私は1つの部署しか経験していませんが、私の大学では3~5年の在籍を目途に他部署への異動が行われます。
1つの部署にずっと所属し、専門性を身に着けた「プロフェッショナル」になりたいという方は、応募の際に検討すべき事項になります。
様々な面から学生支援ができる
最後に漸くですが、大学職員ならではの魅力を紹介します。
大学職員は教員のように「教育」は行いませんが、それ以外の「学生支援」を含めた大学運営にかかわるすべての仕事に携わります。
その仕事の中でも、大学職員ならではの仕事である「学生支援」に魅力を感じている方も多いかと思います。私もその1人でした。
私は現在、入試広報系の部署に所属しているため、オープンキャンパスのお手伝いの学生や撮影を手伝ってくれる学生と関わるくらいで、さほど「学生支援」は経験しておりませんが、大学職員になってやはり「学生支援」の仕事は他部署の職員の話を聞くと魅力的だなと感じます。
教員のように「教育」での学生の成長に携わることは出来ませんが、「就職支援」・「学修補助」・「留学サポート」・「課外活動サポート」等、教育以外の様々な面から学生の成長・支援に職員は携わることが出来ます。
必ずしも直接的に学生支援ができる部署で働けるかどうかの保証はないため、注意が必要です。
以下に、学生支援に携わる機会が多い部署と学生支援に携わる機会が少ない部署で区別したので、参考にしてください。
学生支援に携わる機会が多い部署
学生支援に携われる機会が少ない部署
大事なのは、どの部署で働いていても、どんな仕事をしていても、すべては学生支援につながっているという心持ちですね!
結論:働きやすい環境が整っている大学職員の仕事
私の個人的な価値観や思いも含まれましたが、多くの大学職員の働き方の魅力をお伝えしました。
紹介した魅力がいいなと思う方もいれば、なんとなく違うなと思う方もいると思います。
また、どの仕事にもいいことがあれば注意すべきことや事前に把握しておきたいことも、大学職員にももちろん存在します。
ぜひ注意点も把握していただいたうえで、大学職員の転職・就職活動に臨んでいただきたいです!