大学職員の仕事内容

大学職員の仕事紹介~広報編~

みっちー

首都圏の私立大学で働く現役大学職員(中途4年目) ■元社畜メーカー営業 ■約1年半におよぶ自身の転職体験と大学職員のリアルをお伝え ■大学職員を目指す全ての方を応援します

多くの一般企業でも存在する部署である、情報発信や広報活動を行う「広報課」の部署は、多くの大学にも存在します。

大学の広報課の最大のミッションは、受験生や保護者、大学を取り巻く多くのステークホルダーに対して、広く効果的に大学の情報発信を行い、大学の認知度とイメージ向上に繋げることです。

入試課編での仕事紹介の記事の中でも触れていますが、今は受験生が大学を選ぶ時代となっています。

大学がいくら魅力的な教育と研究を行っていても、それが世間に知れ渡らないと、受験生が集まらず大学の存続にも関わってくることとなります。

広報が上手い大学は、やはり受験生からも選ばれています。

今の大学業界において、重要な部署の1つである「広報課」の仕事について紹介していきます。

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大学職員の広報課の仕事

大学の広報課では、様々な媒体を通じて大学の魅力を発信していきます。

一般企業の広報課は、主に自社商品やサービスなど利益に繋がるものを広報していきますが、大学は利益を求めない組織のため、そのようなものを広報する機会はあまり多くありません。

(大学によっては、利益を求める事業を行っている大学もあるので、それを広報することはあります。)

主に、「受験生向け」には大学の入試情報やキャンパスライフ・学科の学びの魅力等を伝えて、「世間向け」には大学の教育・研究内容や学生・教職員の活躍、大学が行っている社会貢献活動等を発信していき、大学のイメージアップを図ります。

また、もうひとつ一般企業との違いとして、広報活動に使える予算が限られているという点があります。

例えば、一般企業だったら、前年度の売り上げが好調の場合、より広報活動に力を入れていく方針となれば、予算の増額ができてより幅広い広報が行っていける可能性があると思います。

ただ、大学は基本的に毎年の収入が大幅に増えることはない組織なので、毎年の予算も増額する可能性は低くなります。

つまり、限られた予算の中で効果的な広報活動を行うということが、一般企業とは違う大学の広報課の特徴になると考えます。

もちろん、新学部開設やキャンパス移転、周年記念事業などの際は、その広報費用のために予算が増額することもありますが、基本的には上記の考え方と働き方がベースになってきます。

みっちー

前段が長くなってしまいましたが、具体的な広報課の仕事を紹介していきます。

大学ブランディング

大学ブランディングとは、その大学がどんな価値や魅力を持っているのかをわかりやすく定義し、それを世間に対して効果的に伝える取り組みのことです。

ただ、大学案内やホームページで大学の魅力や受験情報を発信しても、数多くの大学を調べる受験生や保護者の記憶には残りません。

大学の尖っている価値や魅力をピックアップして広報したり、ひと味違うオリジナリティのある情報発信を行っていくことが、今後厳しい大学業界を生き残っていくためには必要となります。

例えば、有名な大学ブランディングの例を挙げると、近畿大学の「近大マグロ」を取り上げた広告戦略や千葉工業大学の「ロボット・宇宙」にフォーカスを当てたブランド戦略が私はパッと想像しました。

どちらの大学も大学が持つ独自の強みや特徴を、ユニークな方法で、一貫性のある広報活動を行っています。

近畿大学は目を引く派手な広告チラシ、千葉工業大学は漫画『宇宙兄弟』のキャラクターを大学案内の表紙に起用するなど、他の大学とは一線を画す情報発信方法を行っています。

タブーに挑戦! 近畿大学が明治・早稲田を抜いて日本一になった理由 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://twitter.com/chibakoudai_cit/status/1125286123167576064

その結果、両大学の志願者数は右肩上がりで、2024年度入試で近畿大学が志願者数1位、千葉工業大学が2位のワンツーフィニッシュとなっています。

(千葉工業大学は入試出願の所も大胆な取り組みを行っているため、その影響も大きいです。)

このように、大学ブランディングが上手くいくかどうか(力を入れているか)は、現在の大学業界において重要な事項の1つです。

みっちー

大学ブランディングを担当する部署は、広報課が担う大学もあれば、企画系の部署が担う大学もある等様々ですが、いずれにしてもその業務に広報課は密に関わっていくこととなります。

メディア対応

メディアからの取材受け入れ対応やメディアプレスリリースなどの対応を行います。

メディアプレスリリースでは、大学のイベントや教員の研究成果、教育や社会貢献に関する取り組み等の情報をメディアに提供し、広く伝える役割を果たします。

メディア取材対応では、想像するよりも様々な方面から、多様なジャンルの取材依頼が舞い込んできますが、そのほとんどが、教員や学生を対象としたものとなります。

教員は専門的で豊富な知識を持っているプロフェッショナルの方なので、その知見を活かしてもらうべく新聞や雑誌取材、ニュース報道番組への出演依頼など、多くの依頼が日々届きます。

先生の本業は教育と研究のため、取材対応は取捨選択の必要がありますが、大学としてはそのような場面で所属する先生が世に出ることは、大学のPRにもつながるため支障のない範囲での対応依頼を行うこととなります。

また、教員へは各報道機関からの取材依頼だけではなく、中学校・高校の生徒から、取材依頼が来ることも度々あります。

みっちー

まだ中学生・高校生なので仕方がないことですが、対応のやりとりの場面で苦労することもたまにあります・・笑

学生に対しては、部活動で優秀な成績をおさめた学生の活躍や研究分野のコンクールで賞を取った学生の取材等のいいものもあれば、近年世間を度々騒がせる学生が起こしたSNSでの不祥事への対応等、想像したくないものもあります・・・

私の大学ではそのような事態はまだ発生していませんが、そのような危機管理の対応も広報課が担当する大学が多いです。

大学ホームページの管理

大学のホームページをはじめとした、公式ウェブサイトを日々管理・更新し、最新の情報を掲載します。

この業務は、ほぼ毎日取り組んでいく業務としている大学が多いと思います。

大学のホームページを見たことある方は感じたと思いますが、大学のホームページには非常に多くのページがあって、そこに盛りだくさんの内容が詰まっています。

また、日々それらの情報は新しくなったり、変更が生じるため、必然的に毎日メンテナンスを行うこととなります。

メンテナンス方法は、内部の大学職員が行うのではなく、外部のwebプログラマー業者へ委託をしている大学が多いと思います。

(もし、内部の大学職員が行うとなると、その業務で専任になるくらいの業務量になるのかなと想像します・・)

ホームページ管理の場面で苦労するのは、各部署からの依頼方法や内容が統一されていないこと、求められる期日がバラバラのため管理が大変なことが挙げられます。

極端な例で言うと、

(電話で)「明日までに、この箇所をこのように修正してほしい。」

というようなイメージでしょうか。

みっちー

これはフィクションのため、ここまで雑な依頼を経験したことはありませんが、このような依頼にも対応する場面にも出くわすかもしれないと覚えていただければと思います。

SNS運用

SNSを活用して大学の情報発信やコミュニケーションを広報課が担います。

今は大学も、TwitterやInstagram、LINE、Facebook等のアカウントを開設しているのは当たり前で、それらを管理・上手く活用し、大学のリアルで旬な情報を届けていきます。

ただ正直なところ、大学という組織の世間のイメージからか、大学のそれらのSNSの状況はそこまで活発ではないというのが現状です。

それよりも受験生に刺さるのは、TikTokやYouTubeのショート動画などでしょうか。

特にTikTokは最近、力を入れている大学が多いように感じます。

SNSは話題になればその反響と影響力は強いものですが、基本的にはかける時間と労力に対しての見返りが薄いというのが個人的な印象です。

ただ、これは私のまだまだ初心者の浅い個人的な考えなので、もっと上手くSNSを活用すればやりがいもあるし、費用対効果も大きいんだろうとも思います。

みっちー

奥深い領域なので、これからも勉強していきます!笑

広報課が輝けば選ばれる大学になる

広報課が強い大学は今後の厳しい時代も生き残っていく大学になるのだろうと想像します。

すぐに結果が出る広報もあれば、辛抱強く結果を待つ広報もありますが、自分の努力や工夫が大学の評判や志願者数等によって目に見える形でわかるのも、広報課の仕事の魅力だと考えます。

専門的な知識や方法の取得や内部・外部はじめとした多くの方々と協働していく必要があり、結果を出すまでには苦労する場面もありますが、それ以上にその先の強い達成感を味わえる仕事ができる魅力的な部署です。

みっちー

現在、一般企業で広報として働いている人やそれに通ずる経験をされている方は、選考の中でやりたい仕事の1つに挙げるのもおすすめです!

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