大学職員になるためには、大学業界・大学職員への知識を習得することが必須です。
私は、大学業界とは無縁の仕事からの転職だったため、大学職員への転職活動をスタートした当初は、そこに多くの時間を割きました。
私は大学生時代に「教育学」を学んできたわけでもなく、民間企業時代も大学や教育とは無縁の生活だったため、少し時間がかかってしまいましたが、今振り返ると時間をかけて良かったなと思います。
それはなぜかというと、採用選考中の履歴書作成時や面接時に役立つのはもちろんですが、いざ大学職員として働くことになった際、役立つ場面が多いからです。
中途採用あるあるだと思いますが、新卒採用の人たちとは違い、ほぼ研修がない状態で初日からどこかの部署に配属されるなんてことはわりとよくあります。
その際に、事前に大学業界や大学職員の働き方の知識がついている状態だと、職場内や職場外の方との話の際にスムーズに入っていくことができます。
そもそも大学とは何なのか、国公立大学と私立大学の違い、各大学の特徴、大学業界を取り巻く状況、教職員の働き方など・・・
私が転職活動中に実際に読んで役立ったと感じた書籍をピックアップして紹介していきます!
大学業界・大学の理解に役立つ書籍
私は自分が受験生の頃、地方に住んでいたことや推薦入試(専願)で大学へ入学したこともあり、オープンキャンパスに行ったり、色んな大学のことを調べたりした経験がありませんでした。
そのため、大学職員への就職・転職を考え、大学のことを調べた際に率直に思ったのは、
日本にはこんなに多くの大学があるのか・・・
という感想でした笑
その気持ちになったこともあり、大学業界や大学についての知識を取得する際には、自然と日本全国の規模の大小にかかわらず多くの大学について調べていました。
その興味本位で得た各大学の知識が、採用選考の中で(大学職員になった今も)役立った場面が多かったと振り返って感じます。
偏差値や設置している学部学科が同じであると、どこの大学も同じようなものだと想像してしまいますが、調べていくと大学の中身や色は大学によって全く異なります。
そのようなポイントに着目して知識をつけていくと、純粋に面白いですし、飽きずに継続できるので個人的におすすめです。
大学ランキング
『大学ランキング』は、全国各地の大学を対象に、偏差値だけではない、様々な角度からの各大学の強みをランキング化したものをまとめています。
資格合格率や就職率、高校の先生や保護者からの評価、研究、入試まで、無駄になるページが1ページもないと言っていいほど、多くの貴重な情報が詰め込まれています。
また、大学職員に関するランキングも掲載されており、各大学の職員数、自大学出身比率等は、応募する際に非常に参考になりました。
職員の採用比率が出身大学80%の所に、他大学出身の人が応募してもいばらの道は目に見えてますからね・・・
個人的にこちらの書籍は、大学職員になりたい方は必読だと強く思います。
大学図鑑
キャッチーでインパクトのある表紙が目を引く『大学図鑑』ですが、中身も非常に濃い情報が詰まっています。
すべての大学が掲載されているわけではありませんが、特に関東圏の主要大学のリアルな情報が散りばめられています。
なぜリアルな情報かというと、実際にその大学に通っている学生や卒業生へのインタビュー等が情報のもとになっているからです。
また、良いところはいいと褒めるのはどの書籍でも当たり前ですが、各大学が抱える課題や悩みどころにも当たり前のように触れていくため、そういった所からも他の書籍では得られない魅力があります。
大学大倒産時代
非常に恐ろしいタイトルの『大学大倒産時代』ですが、大学業界の今がよく知ることができる内容となっています。
厳しい大学業界の中で、苦しんでいる大学や様々な工夫をした取り組みを行うことで活路を見出している大学等について紹介しており、勉強になりました。
地方や偏差値帯、国立大学、私立大学、女子大学等で大学を区切って説明していく構成となっており、初心者の方にも読みやすい形となっています。
大学とは何か
『大学とは何か』は大学の成り立ち・歴史から始まり、現代の日本の大学の現状と未来について、説明する内容となっています。
これまで紹介してきた書籍と比べると、学問的な内容となっていますが、大学職員として働くにあたって身につけておかなければならない知識だと、特に大学職員になった今強く感じています。
大学の歴史について学ぶには、こちらの本が個人的に1番おすすめです。
大学選びをはじめからていねいに
表紙と『大学選びをはじめからていねいに』というタイトルからわかるとおり、完全に高校生の受験生を対象とした書籍ですね。
なぜこの書籍を読んだかというと、冒頭でお話ししたとおり私は専願の推薦入試で大学へ入学したため、大学入試がどのようなものかという知識がほぼなかったからです。
面接の中でもしそこに関連した質問が来た際に、なにも知識がない状態ではまずいと思い、こちらの書籍を読みました。
高校生向けに書かれていることもあり、大学入試の経験がほぼない私でもすんなりと内容が入ってきて、採用選考中や今の入試課の仕事にも生かされているので、私と同じような状況の方にはおすすめの本のひとつです。
アクティブラーニング 学校教育の理想と現実
これまでの受け身の学びではなく、主体的な学びを生徒・学生に行う「アクティブラーニング」への知識は大学業界で働いていくにあたって、習得が必要な知識の1つです。
授業内容をどんどん主体的な学びの形へ変革していっている大学や学校が多い中、果たして実際の教育現場の現状はどうなっているのか。
アクティブラーニングの本質と教育関係者の実情がよくわかるため、大学職員も読んでおきたい1冊です。
英語教育の危機
『英語教育の危機』というタイトルのとおり、日本の英語教育に対して警鐘を鳴らす内容となっています。
進まない日本のグローバル化や英語教育の課題等を中心に、大学入試への活用等にも触れていくため、勉強になりました。
大学の中でも「英語」・「国際」・「グローバル」に重きをおく大学は多く、その知識習得のために読んだ1冊です。
大学職員の働き方の理解に役立つ書籍
大学の変革とともに、大学職員の立場や役割についても近年大きく変化が生まれています。
大学の中の大学職員の役割とは、教員との関係性とは、今後大学職員の未来はどうなるか等、わかりやすく紹介している書籍を中心に紹介します。
どんな部署があるか、どんな働き方か、どのような仕事を行うかは大学によって異なるため、多くの大学のホームページで公開されていることが多い、「先輩職員の声」・「部署紹介」のページはあわせて必ず確認してください。
大学職員のリアル 18歳人口激減で「人気職」はどうなる?
『大学職員のリアル』は私が転職活動中にはまだ出版されていなかったため、私は大学職員になってから読んだのですが、大学職員の仕事を理解するお手本のような書籍だと思ったため紹介します。
大学職員としての職務経験がある著者の経験や知識だけでなく、幅広い人脈ネットワークを駆使して収集した、様々な角度からのリアルな情報は圧巻です。
大学職員の仕事が全く分からない方も読みやすい構成となっていますし、大学職員として働いている今も参考になる情報があり、個人的に必読の1冊だと思います。
大学事務職員のための高等教育システム論
アドミニストレーターと呼ばれる大学の行政・管理・マネジメントに携わる、「専門職職員」の育成にスポットをあてた内容の書籍です。
大学職員はこれまでの「管理」する力から「経営」する力が近年求められるようになってきています。
少し高度で専門的な内容の箇所もありますが、大学職員として読んでおきたい1冊です。
大学職員の力を引き出すスタッフ・ディベロップメント
大学職員の能力向上の取り組みであるSD(スタッフ・ディベロップメント)について、山形大学で実際に行われた具体的な事例をもとにわかりやすく紹介している内容です。
SDに焦点を当てながら、大学のリアルな内部状況を把握できるところも読み応えがあります。
高等教育機関に勤める大学職員は、今の時代はもうただの事務職員ではなくなり、プロフェッショナルであるべきという著者のメッセージが伝わり、大学職員の仕事への興味やモチベーションアップにもつながる、おすすめの書籍です。
サラリーマンのための大学教授の資格
『サラリーマンのための大学教授の資格』は大学職員の理解とは毛色が違いますが、大学職員として働くにあたって、非常に大切な知識が得られる書籍のため紹介します。
大学職員になると、どの部署に配属になったとしても教員の方々とのコミュニケーションは不可欠となります。
教員の方々と信頼を築くことができないと、途端にあらゆる仕事がやりづらくなってしまうくらい、その影響力は強いです。
入職してから、そのような場面になった際に役立つ知識が得られるのがこちらの本です。
先生方はどのようにして今の立場にいるのか、どんな経歴を持っているのか、どのように働いているのか等、網羅している内容となっており、非常におすすめの1冊です。
大学業界未経験の方はまず知識の習得から
大学職員を目指す方向けにおすすめの書籍を紹介しました。
大学業界の知識や大学職員の仕事への理解を習得するためには、様々な方法がありますが、私は一定の信頼性が確保されている書籍を中心に知識をつけていきました。
正しく深い知識を身に着けることで、採用選考で他の応募者と差別化が図れますし、入職後も役に立つ場面が多いため、習得して損することはないです。
今回紹介した書籍以外にも、自分が興味のある分野や志望大学の特徴と繋がりがあるテーマの書籍を手に取って、大学業界・大学職員への理解を深めていってください!