大学職員への転職・就職

国立大学職員になるには【私立大学職員と何が違う?】

みっちー

首都圏の私立大学で働く現役大学職員(中途5年目) ■元社畜メーカー営業 ■約1年半におよぶ自身の転職体験と大学職員のリアルをお伝え ■大学職員を目指す全ての方を応援します

大学職員を目指すほとんどの方が、

「大学職員には私立大学職員と国立大学職員があるけど、どちらがいいのだろう・・・」

という選択肢に出くわすと思います。

私もその1人でしたが、私は私立大学職員が自分自身の価値観やライフスタイルにマッチしていると考え、私立大学職員を目指しました。

ですが、人によっては私立大学職員よりも国立大学職員に魅力を感じ、目指す方も多いと思います。

同じ大学職員でも、私立大学職員と国立大学職員では、様々な違いがあります。

「国立大学職員はどんな仕事をするのか?私立大学職員と違いはあるのか?」

「国立大学職員になるには、私立大学職員と同じで倍率が高いのか?」

この記事では、国立大学職員の仕事内容、採用試験概要、倍率、難易度、待遇、給与などを詳しく解説します。

私立大学職員と国立大学職員では、必要な試験対策やスケジュールが全く異なりますので、どちらの大学職員を目指すのか、こちらの記事をチェックして選択の指標にしてください!

国立大学職員とは

国立大学職員は、国立大学や附属病院などで窓口業務や構内業務、対外的な広報や調査など、幅広い業務を担当する職員です。

かつては公務員でしたが、2004年に実施された国立大学の独立行政法人化により、現在は「国立大学法人等職員」という立場になっています。

国立大学法人等職員は国家公務員ではありませんが、仕事内容に公共性・公益性が認められるため、「みなし公務員」として国家公務員に準じた扱いを受けます。

みなし公務員とは、給与やその他の勤務条件などが公務員に準じて定められることが特徴です。

国立大学法人は、全国で86法人があり、東京大学、京都大学、大阪大学、北海道大学など、すべての都道府県に設置されています。

私立大学も島根県以外のすべての都道府県にありますが、国立大学は特に地方でのその地域におけるブランド力や立地等から、地方出身者の方で大学職員として働きたい方にとっては、特に魅力的だと思います。

私の出身地の国立大学も、ブランド力が非常に高かったです。

国立大学職員の仕事内容

国立大学職員の仕事範囲は私立大学職員と同様に非常に幅広いことが特徴です。

国立大学職員は、採用試験の際に「事務系」と「技術系」と分けられて募集がかけられます。

大学病院を持っている国立大学法人も多いため、大学病院における医療事務も国立大学職員の業務範囲内となります。

以下を見ていただくとわかるとおり、国立大学職員の仕事内容は私立大学職員と似た業務が多いです。

そのため、詳しい仕事内容を知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

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事務系

  • 総務・人事・企画
  • 財務・経理
  • 学生支援
  • 入試・広報
  • 教育・研究支援(授業・カリキュラム等)
  • 医療事務
  • 図書管理

技術系

  • 施設管理
  • 土木・建築・電気
  • 教育・研究支援(化学、物理、電子工学、生物・生命科学等)

国立大学職員になる方法

国立大学職員になるには、主に以下の3つの方法があります。

  1. 国立大学法人等職員採用試験に合格する
  2. 大学独自の採用試験に合格する
  3. 内部登用試験に合格する

この中でも国立大学職員になるための最も一般的な試験は、「国立大学法人等職員採用試験」です。

大学独自の採用試験と内部登用試験は実施していない国立大学も多くあるため、参考までにご紹介します。

国立大学法人等職員採用試験

「国立大学法人等職員採用試験」は、国立大学法人等で働く職員を採用するための全国統一の筆記試験です。

全国を7地区(北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州)に分けて実施されます。

一次試験と二次試験に分かれていて、全国統一の一次試験に合格すると、受験地区内の各機関(国立大学)の面接等の二次試験を受けることができます。

試験内容

一次試験は全国共通で教養択一(40問・2時間)のみです。

一般知能(文章理解、判断推理、数的推理・資料解釈)と一般知識(社会、人文、自然)から出題されます。

一次試験の難易度は、国家一般職や地方上級と同じくらいです。

二次試験は各大学が独自に行い、個別面接に加えてグループディスカッションが課されることが多いです。

受験資格(2024年参考)

公務員に準ずる影響からか、受験可能な年齢は30歳までとなります。(受験翌年の4月1日時点)

上述したように、受験区分は「事務系」と「技術系」に分かれているため、選択し受験することとなります。

なお、事務系の中の図書区分の場合、司書の資格は必須ではありません。

試験日程(2024年参考)

  • 受付期間:2024年5月15日(水)10:00~5月29日(水)17:00
  • 第一次試験日:2024年7月7日(日)
  • 第一次試験合格発表:2024年7月25日(木)9:30
  • 第二次試験日:各国立大学法人等の日程で実施。

大学入試のように毎年、受付期間・試験日・合格発表日が明確に定められていることが特徴ですね。

大学独自の採用試験

統一採用試験以外に、私立大学のように独自で職員採用試験を実施している国立大学もあります。

応募資格や試験日程・内容などはそれぞれの大学で異なり、統一採用試験よりも年齢制限等の応募条件が緩く受験しやすい傾向にあります。

また、募集が不定期に行われることから、統一採用試験よりも倍率が低くなる傾向にあり、国立大学職員を目指す方にとっては狙い目の試験です。

私立大学と同様に、日々のこまめな求人のチェックが必要となりますが、リクナビNEXTやマイナビ転職などの転職サイトへの露出も多いため、転職サイトをこまめにチェックすれば大体の求人は把握できると思います。

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内部登用試験

内部登用試験は、国立大学に勤める契約職員などの非正規職員を対象に行われる内部的な採用試験です。

この試験も大学独自の採用試験と同じく応募資格や試験日程・内容などはそれぞれの大学で異なり、実施していない大学もあります。

私立大学でも大学によって行われている試験ですが、公募ではないため、当たり前ですが対象となる方は少ないですね。

国立大学職員の倍率

「国立大学法人等職員採用試験」の関東甲信越地区のデータをもとに紹介します。

採用試験事務室が公開している一次試験の実施結果より、最新の令和6年度実施のデータを以下のとおりまとめました。

試験区分申込者数受験者数第一次試験
合格者数
倍率
事務系5329人3274人1532人2.1倍
技術系102人57人47人1.2倍
合計5431人3331人1579人2.1倍

※倍率=受験者数/第一次試験合格者数

令和6年度関東甲信越地区の国立大学法人等職員の一次試験倍率は2.1倍でした。

二次試験の最終合格者は、国立大学法人等ごとに出しているため明確な倍率は不明ですが、国立大学ごとの採用人数は多くないため、内定に至るまでの倍率は一次試験の倍率以上となる見込みです。

私立大学の倍率と比べると低くなりますが、私立大学の採用試験とは全く違う試験内容となるため、注意が必要です。

国立大学を目指している方は私立大学も併願できるかもしれませんが、その逆は試験内容に鑑みると難しいかもしれませんね。

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国立大学職員の待遇・給与

給与・初任給

初任給は、約18万円~22万円程度。

中途採用の場合は、私立大学と同様に採用前の勤務年数等に鑑み、給与が決定されます。

その他に、ボーナスは毎年6月・12月の年2回、通勤手当、扶養手当、住居手当等が支給されます。

国立大学職員の給与は私立大学と比べると低いと、インターネットで検索すると出てきますが、これは当てはまる私立大学と当てはまらない私立大学があると考えます。

国立大学よりもはるかに高い給与をもらっている私立大学職員もいれば、国立大学の水準と同じくらいの私立大学職員もいますし、国立大学よりも低い給与の私立大学職員もいるかもしれません。

ちなみに私の勤めている私立大学は、国立大学の平均よりも若干高いくらいの給与水準になっています。

勤務時間

勤務時間は、8時30分から17時15分までの1日7時間45分勤務。(週換算:38時間45分)

元国立大学の教員曰く、その方が勤めていた国立大学では、残業している職員は少なく、勤務終了時間後すぐに消灯されている部署も多くあったようです。

もちろん大学によりけりだと思いますが、その大学は非常にうらやましい環境ですね。

休日・休暇

土曜日・日曜日・国民の祝日に関する法律に規定されている休日が国立大学職員の休みとなります。

その他休暇として、夏季休暇、年末年始休暇、結婚、出産、忌引、病気、育児、介護休業等の休暇制度がそろっています。

異動

本人の希望や適正を考慮し配属先が決定され、2~3年ごとに人事異動が行われます。

国立大学職員には、他大学での勤務や文部科学省に研修生として勤務する私立大学にはない制度があります。

自大学だけでは培えない、広い価値観や視野が身に着けることができるため、個人的には非常に魅力的な移動の制度だと感じます。

国立と私立では職員を目指す道が異なる

国立大学職員になるためには、私立大学職員とはスタートから大きく異なることがわかっていただけたと思います。

両方目指すことも不可能ではないと思いますが、特に転職や中途採用の場合は、どちらかに絞って大学職員を目指すことをおすすめします。

自分自身の価値観と向き合い選択し、それぞれの試験対策を進めていってください!

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