皆さんも受験生だった頃に大学選びを経験されている方は多いと思います。
受験生だった頃は、偏差値の高さやブランド力の高さ・就職実績などで選ばれた方が多いと思いますが、大学職員としてその大学で働く際に、どのように大学を選べばいいのかはまた別の話となります。
現在、日本に約800もの大学がひしめき合う中、大学をグルーピングして、それぞれの特徴やおすすめポイント、職員として向いている方の特徴などを紹介します。
こちらの記事では、「地方大学」をテーマに紹介していきます!
地方大学とは

はじめに、「地方大学」とは、明確な定義が法律や制度上あるわけではありませんが、一般的に東京・大阪・名古屋といった大都市圏以外の地域に所在する大学を指すことが多い為、本記事でもそのように定義して紹介していきたいと思います。
(大学の種類は、国公私立すべての分類をひとまとめにしていきます。)
私自身は、学生の頃も現在職員として勤める大学も都市部の大学のため、自身の経験として地方大学の魅力はお話しできませんが、地元の地方大学へ進学した友人や地方大学出身の同僚、地方大学で勤める他大学職員の方から聞いた話をもとに、以下のように地方大学と都市部大学の比較表を作成してみました。(主観且つ主な特徴・傾向でまとめているので、誤った箇所もあると思いますがご了承ください。)
比較項目 | 地方大学 | 都市部大学 |
---|---|---|
立地・環境 | 自然豊かで静か、生活コストが低い | 都市機能が充実、交通・買い物・文化施設が豊富 |
教育スタイル | 少人数教育が多く、教員との距離が近い | 規模が大きく、専門分野・カリキュラムが豊富 |
就職 | 地元企業や地方公務員への就職に強い | 大手企業・マスコミ・IT系企業など都市圏就職に有利 |
学生の多様性 | 地元出身者が多く、比較的均質 | 全国・海外からの学生が多く、多様な人間関係が築ける |
生活費・家賃 | 安い(例:下宿やアパート代) | 高い(例:首都圏の家賃は地方の2〜3倍) |
プライベート | 静かで集中できる反面、刺激が少なめ | 流行・文化・イベント・人脈など刺激が多く、情報量も多い |
地方大学で働くってどんな感じ?
北は北海道から南は沖縄まで、全国各地に大学はあります。
各地域によって特徴や風土が大きく異なる地方大学で職員として働くイメージを紹介します。
地元出身者が多い
都市部の大学だと、都市部出身だけでなく全国各地から入学者が集まる環境があります。
一方で地方大学はキャンパスがある地域の地元や近隣地域出身者が大半の入学者を占める傾向にあります。
職員に関しても同様のことが言えるため、同じ地域出身ということで組織に馴染みやすかったり、働きやすい環境があります。
教員も一定数地元出身者はもちろんいますが、学生や職員と比較すると地元出身の割合は低くなります。
地域密着な環境
地方大学は、地域とさまざまな形で密着・連携しながら運営を行っている大学が多いです。
地元企業と大学が共同開発で商品を作ったり、地元のスポーツチームと学生がコラボしてイベントを行ったりなど、その形は多種多様です。
そのため、職員として働いていくにあたっても、地元の企業や地域の方々と密に関わっていく機会も多くなります。
知名度が高い
地方大学はその地域での知名度は抜群です。
特に国公立大学はその傾向がより強く現れます。
私も地方出身ですが、周囲の人で地元の国立大学のことを知らない人はいませんでした。
都市部だと多くのさまざまな大学が密集していることも多いため、私も働いている中で他の大学に間違えれられるといった経験もありました。
知名度が高いと、例えば入試課の仕事で受験生に説明を行ったり、高校の先生とお話をする際に、スムーズに話が進められることができますし、就職支援の場面でもOB・OGが関わる企業に勤めていることも多いため、話が通りやすいです。
企業で働く際でも同様のことが言えますが、働いている組織の知名度が高いとあらゆる面でメリットを感じることが多いと考えます。
地方大学の職員に向いている人は?
続いて、地方大学の職員として向いている人について、紹介していきます。
地元出身者・該当地域に縁がある人
前述したとおり、地方大学は地域密着な環境で働いていくこととなるため、やはり自身も地元出身であったり、出身でなくても何か縁があったり、その地域に対して思いがある方が向いていると考えます。
私の元同僚の職員で、体調を崩してしまい今は出身地の地方大学で職員をしている方がいますが、やはり地元は水に合っているのかいきいきと仕事をしているようです。
また、働いていく以外にも家族や地元の友人が近くにいるということも大きなメリットになると思います。
地域に根ざして生活していきたい人
地方大学の多くは、都市部の大規模大学のように全国各地にキャンパスが点在することはありません。
そのため、(大学が潰れたり・・)辞めない限りはその地域で長く根ざして働き、生活していくことが可能です。
民間企業だと地方にある企業でも支店や営業所が点在していたりすることが多いですが、大学は基本的に1つのキャンパスでずっと働いていくことができるため、より安定した生活基盤が構築しやすいと考えます。
地方大学を選ぶときのポイント
最後に、これまでのポイントもまとめつつ、地方大学を選ぶときのポイントを紹介します。
学生募集状況(入学者の出身地域)
地方大学に限らず、大学を選ぶ際の重要な指標の1つである学生募集状況について、地方大学では全体の経年の募集状況と合わせて、入学者の出身地域もチェックしてもらいたいです。
例えば、福岡にある大学の場合は、キャンパスがある福岡出身以外の入学者の比率がどのくらいかをチェックすることをお勧めします。
その場合、ほとんど福岡出身ということも決して悪いことではありませんが、九州・中国・四国の各県や沖縄などからも、一定の入学者が毎年確保できていれば、大学がターゲットとしている市場からしっかりと獲れているととれますし、知名度が広い地域に伝わっているともとれます。
この後も触れますが、地方大学は受験生の市場が都市部の大学と比べると絞られてしまうため、できるだけ1つの地域からだけでなく近隣や大学が狙いとしている地域から受験生を集めることは大切です。
大学の方針等もありますので一概には言えませんが、幅広い近隣地域からも入学者がいるということはその地域の中でも評価されている大学ともいえると考えます。
地域の出生数推移
地方によっては、都市部と比較してより急速に少子化が進んでいる地域もあります。
都市部の大学は、ブランド力や知名度・立地環境から全国の地方出身者の入学者をある程度確保することができますが、地方大学は都市部大学と比べると市場が絞られてしまいます。
例えば、仙台にキャンパスがある大学の市場は、東北・北関東に絞られる傾向にあるため、気になっている地方大学がある場合は、近隣地域の出生数の推移はチェックすることをおすすめします。
(国立大学はあまりこちらの傾向は該当しませんが、私立大学の場合は要チェックです。)
学生数が多い大学
現在、少子化の波を受け全国各地で大学が募集停止・共学化を行っていますが、その大学の1つの傾向として、地方の小規模大学が当てはまります。
地方においても、国公立大学や学生数が多い私立大学は知名度やブランド力が高いため、今後も選ばれていくとは思いますが、これまで小規模・中規模大学へ入学していた層が、それらの大学に入学していくこととなれば、小・中規模大学が厳しくなることは容易に想像できます。
地方大学に限りませんが、地方大学を選ぶ際にも学生数が多い大規模大学や国公立大学ということは大事なポイントになります。
地方大学のおすすめ度は?

地方大学で職員として働くおすすめ度は、以下の2点に当てはまる方にとっては100点満点だと思います。
逆に上記の2点を満たさないとおすすめできないというわけではありませんが、特に2点目は地方大学を選ぶ際には要チェックのポイントとなります。

私は地方出身で現在は都市部の大学で働いていて、今の環境には全く不満はありませんが、地元の大学で働いてみたいとも強く思います。
仕事の面はもちろん、プライベートや生活のことなども考えながら、地方大学で職員として働く選択肢もぜひ検討してください!